むさしの百年物語1 開村から明治末(1889~1911)

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ページ番号1003317  更新日 2016年7月29日

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武蔵野村の誕生、発展の礎

神奈川県から東京府へ

明治22年(1889年)の市制町村制の施行にともない、4月1日に吉祥寺・西窪・関前・境の4カ村と井口新田の飛び地とが合併して武蔵野村が誕生しました。武蔵野村の名称は、旧村のいずれかの名称をとるのを避けて、武蔵野台地にちなんで新しく付けられたといわれています。しかし、どのような経緯でこの名称に決まったのかについての資料は残っていません。
このころの武蔵野村は、神奈川県の管轄で「神奈川県北多摩郡武蔵野村」となっていました。その後、明治26年(1893年)には西多摩・南多摩の2郡とともに、東京府へ移管されることになります。これは、当時東京府の重要な水源の一つであった玉川上水の水質と水量の保全を目的に、その流域と源流を東京府の管轄下に置こうという意味合いもあったようです。これにより、「東京府北多摩郡武蔵野村」となりました。

鉄道が農村・武蔵野村に変化をもたらす

武蔵野村の誕生時、人口は約3,000人で、そのうちの9割以上が農業を営んでいました。
農産物については、時期によって変化がみられますが、明治期の吉祥寺村の生産状況をみると、麦と雑穀を中心として、陸稲やサツマイモ、里芋などが生産されていたようです。
農村であった武蔵野村の発展に大きな影響を与えたものとして、村の誕生とほとんど同時(明治22年4月11日)に開業した甲武鉄道(のちの中央線)があげられます。新宿と立川間が開通し、同年8月11日には立川と八王子間の営業が始められました。同鉄道路線には、開業当初から境停車場(大正8年から「武蔵境」と名称変更)が、明治32年(1899年)12月30日には吉祥寺停車場が開設されました。この吉祥寺停車場の開設は、現在の吉祥寺駅周辺のにぎわいが物語るように武蔵野市域の発展に決定的な影響を与えることになりました。その後、昭和5年(1930年)には、三鷹駅が開設されます(北口開設は同16年)。
開業から17年を経過していた甲武鉄道は、明治39年(1906年)に国有化され、中央線の一部として信州を経由し、東京と名古屋を結ぶ幹線として、また東京近郊の郊外電車として整備されていきます。これにより、郊外住宅地としての武蔵野村がますます注目されていくことになります。

麦の生産(吉祥寺村) 明治12(1879)年

麦の種類 作付面積 収穫高 平年収穫高 平年反当収量
大麦 100町 540石 700石 0.7石
小麦 121町 440石 605石 0.5石

雑穀の生産状況(武蔵野村)明治41(1908)年

雑穀 作付面積 収穫量
粟(あわ) 85.0町 850.0石
稗(ひえ) 21.0町 630.0石
黍(きび) 9.5町 66.5石

雑穀の生産状況(武蔵野村)大正4(1915)年

雑穀 作付面積 収穫量
粟(あわ) 35.0町 350.0石
稗(ひえ) 2.0町 60.0石
黍(きび) 3.0町 24.0石

雑穀の生産状況(武蔵野村)大正9(1920)年

雑穀 作付面積 収穫量
粟(あわ) 25.0町 300.0石
稗(ひえ) 15.0町 450.0石
黍(きび) 45.0町 950.0石
写真1
蒸気機関車繁栄之図(猿渡彰氏提供)
写真2
境停車場
写真3
村役場(延命寺)(中里崇亮氏提供)
写真4
東多摩郡への合併を求める契約書

コラム2 在りし日の吉祥寺停車場

写真5
吉祥寺停車場(加々美紀久子氏提供)

なにしろ桑畑や麦畑の真ん中に駅が出来たので、家といえば私どものほか、もう1軒と、その向こう側に1軒あるだけで、相当長い間、この3軒だけでした。当時の乗降客は1日3、4人。雪の日などは一人もいないという日もありました。汽車の方もずいぶんと悠長なもので、「いますぐ、あとから何人来るから、ちょっと待ってくれ」と声をかければ2、3分くらいはいつも待ってくれたものです。今から考えるとまるでウソのような話ですね。汽車に乗るときは、正装でしたので、いつ到着するともわからない汽車を待つ間に休む所が必要だということで、ヱビスヤという休息所(茶屋)を始めたわけです。まもなく料理屋となり、旅館となっていきましたが、ヱビスヤの移り変わりは吉祥寺停車場の大発展を物語るようで、驚いたり喜んだりしております。
(ヱビスヤの安藤ハマさん、曾孫の安藤 亨さんのお話から構成)

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