地位確認等請求事件

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ページ番号1010982  更新日 2016年7月29日

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一年以内の任用を継続して約20年間任用されてきた嘱託職員が、翌年以降の再任用が認められなかったことを不服として、現在も嘱託職員の地位を有することを求める事件の概要です。

平成21年(ワ)第36883号地位確認等請求事件(第1審)

  • 当事者
    原告 X
    被告 武蔵野市
  • 経過
    平成21年11月9日 提訴
    平成22年9月14日 原告から「嘱託職員として任用せよ」との請求が追加され、民事事件から行政事件(平成22年(行ウ)第641号地位確認等請求事件)に変更
    平成23年11月9日 判決
  • 管轄
    東京地方裁判所

概要

原告は、昭和62年12月から平成21年3月まで、任用期間を1年以内とする非常勤嘱託職員として継続して任用されており、保険課において診療報酬請求明細書の点検業務に従事していた。

平成21年1月、原告は保険課長から同年4月以降の任用は行わない旨告げられ、同年3月任用期間満了により退職した。

本事件は、同年4月以降、原告が嘱託職員として任用されなかったことを不服として、上記任用期間満了後においても嘱託職員としての地位を有することを求めるものである。

判決主文

  1. 本件訴えのうち、原告を国民健康保険診療報酬請求明細書整理員及び医療扶助診療報酬請求明細書整理員として任用することの義務付けを求める部分を却下する。
  2. 被告は、原告に対し、150万円及びこれに対する平成21年4月1日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  3. 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
  4. 訴訟費用はこれを5分し、その4を原告の、その余を被告の負担とする。
  5. この判決は、第2項に限り、仮に執行することができる。

判決理由

理由1

  • 地方公務員法(以下「地公法」という。)は、地方公共団体における全ての公務員を地方公務員であるとしている。この趣旨からすれば、地公法は、地方公共団体に勤務する者で、一般職にも特別職にも属さない者の存在を予定しておらず、雇用契約による勤務関係の成立を認めていないものとするのが相当である。したがって、私法上の雇用契約による地方公務員の職を認めることはできないというべきである。
  • よって、被告における原告の就労が私法上の雇用契約関係に基づくものであるとの原告の主張を採用することはできない。
 

理由2

  • そもそも、公法上の任用については、その勤務条件も含めて法定されているのであって、当事者の意思や個人的な事情によってこれを変容させる余地はないのであるから、非常勤職員としての任用期間が満了すれば公務員としての地位は失われると解するほかはなく、新たな任用行為が存在しないにもかかわらず、それが存在するのと同様に取り扱うことはできないというべきである。
  • したがって、被告における原告の就労は公法上の任用関係に基づくものであり、新たな任用行為としての再委嘱がなされない以上、平成21年3月31日をもってその任用関係は終了したというべきである。
 

理由3

  • 原告が、21回という多数回にわたって、繰り返し再任用され、任用継続期間の上限とされる5年をはるかに超える21年3カ月の長期間にわたって被告の診療報酬請求明細書整理業務を継続してきたことなどに照らすと、原告が再任用を期待することが無理からぬものと見られる行為を被告が行ったという特別の事情があると認めるのが相当である。

平成23年(行コ)第402号地位確認等請求控訴事件(第2審)

  • 当事者
    控訴人(附帯被控訴人) X
    被控訴人(附帯控訴人) 武蔵野市
  • 経過
    平成23年11月22日 原告控訴
    平成24年2月14日 被告附帯控訴 
    同年7月4日 判決
    同月19日 判決確定
  • 管轄
    東京高等裁判所

附帯控訴理由

附帯控訴人は、附帯被控訴人に対して、任期予定期間満了後も任用を続けることを確約も保証もしていないし、期間満了後も任用が継続されると見られる行為はしていないので、附帯被控訴人の期待権を侵害しておらず、原判決のうち附帯控訴人敗訴部分は、取消され、棄却されるべきである。

判決主文

  1. 本件控訴及び附帯控訴をいずれも棄却する。
  2. 控訴費用は1審原告の、附帯控訴費用は1審被告の各負担とする。

判決理由

1審原告の地位確認請求及び未払い賃金等請求は理由がなく、再任用の義務付けを求める訴えは不適法であり、1審原告の予備的請求は150万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で理由があると判断する。

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