Interview 見つけた、わたしの居場所

Interview見つけた、わたしの居場所

魅力あふれるこのまちで、さらなる活力を生み出している人々に出会いました。 それぞれの場所で、それぞれの思いを胸に、市内で活動する皆さんにお話を伺いました。

市民活動インタビュー

むさしのばやし保存会

むさしのばやし保存会 会長 小美濃純彌

会長

小美濃おみの じゅん

JUNJI OMINO

むさしのばやし保存会とは・・・

市の無形民俗文化財に指定されている「むさしのばやし」は、武蔵野八幡宮の祭礼を盛り上げるために文久2(1862)年に誕生したお囃子(はやし)で、祭礼時だけでなくさまざまなイベント、施設で演奏されている。伝統あるお囃子を後世に伝えていくため、小・中学生を対象にした「チビッコ教室」を47年にわたって実施するなど、保存伝承活動に取り組んでいる。

地域の伝統芸能をいつまでも残していくために

160年の歴史を持つ伝統芸能「むさしのばやし」は、武蔵野八幡宮のお祭りをにぎやかにするためにうまれたお囃子(はやし)と言われています。当時は「吉祥寺囃子(きちじょうじばやし)」と呼ばれていましたが、昭和46(1971)年に市の無形民俗文化財に指定される際に名称が「むさしのばやし」となりました。

5人で編成される演奏は、大太鼓・小太鼓・鉦(かね)・笛の4つの楽器で奏でられ、そこに踊りも加わることがあります。本来は、楽器も踊りもすべてできるのが理想ですが、すべてできる方も少なくなりました。

以前は吉祥寺を本拠地とする私たちのほかに、境や西久保などの地域にもお囃子団体がありましたが、継承者がいなくてほとんどがなくなってしまいました。だからこそ、次の世代に伝え残していくことが大切で、47年前から市内の小・中学生を対象にした「チビッコ教室」を市と協力して開催しています。また、成人教室には、非常に熱心に参加してくださる方もいて今後に期待をしています。一人前になるには、最低でも5年はかかるでしょう。長い目で見て大切に人材を育てています。

保存会のメンバーは、最近は会社員の方が多く、土日の活動がメインになっています。会員の中には杉並、西東京、三鷹、練馬など、市外から通ってきてくれる人もいます。結婚して市外へ引っ越したけれども熱心に通ってくださっている方もいますよ。むさしのばやしを誇りに思っている人が、残って頑張ってくれていることはうれしいです。私は80歳になりますが20代の人もいまして、世代間交流も活発です。会員になる条件は「むさしのばやしをやっていること」だけ。みんなで楽しくやってもらえるのが一番です。

最近では外国の方からこうした伝統芸能に興味を持っていただくことも増え、そうして注目されることもやりがいの一つです。

お囃子(はやし)には楽譜があるわけではありません。カタカナで書かれた教本があるのですが、それだけで演奏することはできなくて、「間」や「速さ」は口伝で引き継いでいかなければなりません。

私たちは地域からの応援や支えがあって、ありがたいことに活動を続けることができています。むさしのばやしは伝統ですから形を変えてはいけません。同じことを繰り返し繰り返し行っていくことで、「むさしのばやし」をさらに先の時代へ残していく責務を果たしていきたいです。

チビッコ教室の様子 「チビッコ教室」の様子
先輩たちの音色に合わせて叩く子どもたち 先輩たちの音色に合わせて叩く子どもたち

NPO法人 ファングリーン

  • NPO法人 ファングリーン 代表理事 戸塚航介

    代表理事

    戸塚とつか 航介こうすけ

    KOUSUKE TOTSUKA
  • NPO法人 ファングリーン 代表理事 細窪迅

    副代表理事

    細窪ほそくぼ とし

    TOSHI HOSOKUBO

NPO法人 ファングリーンとは・・・

武蔵野市役所南側にあるむさしの市民公園を中心に、地域の広場や公園、学校校庭や園庭を、子どもからお年寄りまでが安全で気持ち良く過ごせる芝生にすることで、子ども達の外遊びや生涯スポーツを振興し、緑豊かなまちづくりを推進することを目的に活動を展開。芝生の植え付けや散水、芝刈りなど。平成19(2007)年12月にNPO法人化。

芝生づくりで、地域の子どもと大人が思い切り遊び憩える場所を

NPO法人ファングリーンでは、まちの公共スペースの芝生化を推進しています。団体設立は平成19(2007)年。地域の方々が集い、子どもたちが裸足で走り回りゴロゴロと寝転べる場所をつくりたいと思い、市に公園や校庭の芝生化を提案したところから活動がスタートしました。 共感してくれた人々が集まり、現在は正会員とサポートメンバー、総勢20名程。 活動内容としては、芝刈り、散水、施肥、植え付け補修などを行っています。 武蔵野市役所に隣接するむさしの市民公園における芝生づくりとその維持が主な活動です。

団体としての活動は主に週末ですが、メンバーの多くが、日々、散歩や近所での用事などのついでに立ち寄り、芝草のチェックや石拾いなど、ちょっとしたメンテナンスをしています。芝生は生きているので、日々気にかけることが大切です。私たちの日常生活の中にこの場所での活動がすっかり溶け込んでいると感じています。

むさしの市民公園は、かつてほとんどのスペースがカチカチの土の地面でした。当時は土ぼこりが舞いやすく、近隣の建物では窓を開けられない日も多かったそうです。私たちが活動を開始して以来、メンバーや近隣住民の方とともに少しずつ苗を植え、今では公園の大部分、約1,800㎡の芝生広場ができました。鑑賞用の芝生ではなく、遊んだりスポーツをしたりできる芝生づくりをできるよう、丈夫で踏圧(とうあつ)に強く、成長も早い「ティフトン」という西洋芝を植えています。

芝生づくりは、景観維持やヒートアイランド現象の抑制、砂ぼこり防止など、環境へのさまざまなメリットをもたらすと同時に、人々が集まり、遊び、憩うことのできる空間づくりにもつながります。以前よりも公園に訪れる人が増え、皆さん思い思いに芝生の上で過ごしています。子どもたちが芝生でのびのびと遊ぶ様子や、親子連れがお弁当を広げてゆったりとくつろぐ様子などを見ると、やってて良かったという気持ちになります。

私たち自身も、みんなで気持ち良い汗をかきながら芝生を手入れすることに、やりがいを感じています。作業が一段落して芝生を見渡すと達成感があります。春と秋の2回、芝の新芽を初刈りした直後の芝生の美しさは、毎年のことながら感動ものです。こうした活動を15年にわたって続けていることを、行政も尊重し、支え続けてくださっています。今後も、楽しみながら地域で芝生の良さを広めていきたいです。そして、活動当初から目指している、保育園・幼稚園の園庭や学校校庭の芝生化をいつか実現したいと思いつつ、今後も活動を続けていきたいです。

むさしの市民公園での活動 むさしの市民公園での活動
スタッフのみなさん スタッフの皆さん

むさしの地域猫の会

むさしの地域猫の会 会長 西村麻衣子

会長

西村にしむら 麻衣子まいこ

MAIKO NISHIMURA

むさしの地域猫の会とは・・・

平成18(2006)年9月設立のボランティア団体。猫トラブルによる相談対応、地域猫活動(TNR(Trap–Neuter–Return:捕獲・去勢不妊手術・リターン))から活動を開始。地域猫活動では、地域猫への餌やりマナーの普及・啓発、不妊・去勢手術後の地域猫の管理などを行う。その成果が見られる現在は、子猫・捨て猫の保護・譲渡活動を中心に、多頭飼育崩壊防止や飼い猫の適正飼育の啓発・対応、地域猫の不妊・去勢手術の助成などを行っている。

人と猫、どちらも気持ち良く暮らせるまちづくりを目指して

むさしの地域猫の会は、人と猫が共存できるまちづくりを目指して、平成18(2006)年に設立された団体です。 地域猫に関わるトラブル解消や、飼い主のいない猫の適正管理などに向けて、 地域猫のTNR(Trap–Neuter–Return:捕獲・去勢不妊手術・リターン)や不妊・去勢手術を施した地域猫のお世話、 飼い主のいない猫の保護・里親募集などを行っています。

私が入会したのは平成23(2011)年。折しも東日本大震災が発生した年でした。 多くの人が苦しむ中、被災地に取り残された動物たちも傷ついていることを知り、 身近な地域で自分には何ができるかを考えていました。そんな折に近所で衰弱した猫の親子に出会い、 保護してあげたいと思ったことが始まりでした。それを機に地域猫の保護活動に興味を持ち、 セミナーなどに参加して学ぶ中で当時の会長に声をかけてもらいました。活動を始めると、 地域猫の置かれている過酷な状況を改めて目の当たりにし、ショックを受けました。 地域猫は、暑さや寒さ、台風や雪、飢え、虐待など、危険と隣り合わせで生きています。 当時の武蔵野市内には地域猫の数がとても多く、ふん尿被害をはじめとするトラブルも頻発していました。 飼い主のいない猫が増えると、地域でいろいろな問題が発生してしまうんです。

 

長年の活動が実を結び、地域猫の数は大幅に減少しました。最近は報道で地域猫や保護活動が取り上げられる機会が増え、世間の関心も高まっていると実感しています。辛い目にあっている地域猫に遭遇すると心が痛みますが、優しい里親に引き取られ、幸せに暮らしている様子を見ると、活動を続けてきて本当に良かったと思います。

 

大好きな猫たちのお世話を通して、地域とのつながりができたことも大きいですね。かつては職場と自宅を往復するだけの日々でしたが、活動を通して市内のさまざまな場所を訪れる中で、自分の住むまちについての理解が深まり、共感し合える人たちにも出会えました。

 

現在は、新たな取り組みとして、武蔵野市役所の福祉関連部署と連携し、高齢化・病気などの理由で猫を飼い続けることが難しくなった飼い主から猫を引き取り保護する活動も始めました。今後も、人も猫も気持ち良く暮らせる地域づくりをまちぐるみで進めていければと思います。

猫の譲渡会にて保護主さんと見学者さん 猫の譲渡会にて保護主さんと見学者さん
スタッフのみなさん スタッフの皆さん

非核都市宣言平和事業実行委員会

  • 非核都市宣言平和事業実行委員会 委員長 中里崇亮

    委員長

    中里なかざと 崇亮すうりょう

    SURYO NAKAZATO
  • 非核都市宣言平和事業実行委員会 副委員長 小餅友子

    副委員長

    小餅こもち 友子ともこ

    TOMOKO KOMOCHI

非核都市宣言平和事業実行委員会とは・・・

昭和57(1982)年3月29日に行った非核都市宣言が平成19(2006)年に25周年を迎えたことを機に、地域・平和団体、大学生、公募市民などで構成する非核都市宣言平和事業実行委員会を設置。以降、戦争パネル展や映画上映会、講演会、子ども向けイベントなど、さまざまな平和啓発事業を企画・運営している。

戦争の悲惨さと平和の大切さを、世代を超えて伝えていきたい

中里委員長

武蔵野市には、かつて軍用飛行機のエンジンを生産していた軍需工場である中島飛行機武蔵製作所がありました。そのため、その工場を標的として、武蔵野市は、戦中に激しい爆撃を受けた歴史があります。私は延命寺の住職をしておりますが、当時はまだ子どもでした。この近くにも多くの爆弾が落とされ大きな被害がありました。空襲を受けたり、防空壕にいながらに焼けてしまったり、目の前で多くの人が亡くなっていきました。それはもう悲惨な状態で、ご遺体は埋めることもできず、境内に横たえられていたのですが、子ども心にただただ恐ろしく、いまだに目に焼きついています。

当時のことをお話しする機会を持つ中で、寺には、いつしか鉄兜や防空頭巾、爆弾の破片など多くの戦争遺物が納められるようになりました。子どもたちに戦争の悲惨さ、平和の尊さを伝えるために、これらを展示したり、戦争パネル展や平和講演会などを実行委員会として行っています。武蔵野市は、コミュニティに対する関心が高く、市民や学者、地域が結びついた市民活動が盛んでした。その力を生かして、中島飛行機武蔵製作所があった武蔵野市ならではの平和事業を、この地から世界へ発信せねばと思っています。

小餅副委員長

私は当初、所属する団体からの推薦で実行委員会に参加したのですが、平和の大切さを考え、そして伝えていくことが大切だと考えるようになり、現在は公募委員として参加をしています。平和は何よりも大切です。この実行委員会に参加して、中里委員長のような戦争経験者の貴重な体験談をお聞きすることができました。戦後生まれの私も経験者のお話を聞き、その思いを次代に引き継いでいくことが大切だと感じています。孫やその次の子どもたちに何を残せるか、残すべきか考えています。

実行委員会では、5月の憲法月間、夏の終戦記念の時期、11月の武蔵野市平和の日に合わせて、大きく3つの事業を行っています。実行委員会には大学生も参加してくれています。若い人たちが関わってくれることが、とても大切だと思います。子どもたちがイベントに来てくれ、そのお子さんたちがおうちで親御さんにイベントの様子を話してくれたり…。大学生の意見を聞いて「若い世代の人たちもしっかり考えているな」とうれしく思うこともあります。

武蔵野市は戦後の焼け野原から、新しくコミュニティを自分たちでつくってきました。平和への思いが強いまちだと思います。令和4(2022)年3月にウクライナのために平和コンサートを急きょ開催しましたが、すぐに多くの賛同が集まり、また、市も活動を理解し応援してくれました。これからも平和への意識を高める事業を継続していくことが大切だと思っています。

平和に関する映画の上映会 平和に関する映画の上映会
武蔵野の空襲と原爆パネル展 武蔵野の空襲と原爆パネル展

NPO法人 ぐーぐーらいぶ

NPO法人 ぐーぐーらいぶ 代表理事 北川史歩子

代表理事

北川きたがわ 史歩子しほこ

SHIHOKO KITAGAWA

NPO法人 ぐーぐーらいぶとは・・・

平成16(2003)年NPO法人化。図書館司書が中心になって、コミュニティセンターなどをはじめ、商店会や医療機関、民間企業などでのおはなし会、読み聞かせのほか、本の出張貸出などを実施。本を通じて市民自らの学びや成長を支援し、さまざまな人々が集い支え合う居場所づくりに取り組んでいる。

誰もが自由に「本」を楽しみ、自分らしく豊かに生きるために

good-good librarian(グッド グッド ライブラリアン)を略して「ぐーぐーらいぶ」。 librarian(図書館司書)以外にも、library(図書館)、life(命、生活、人生)などの意味を込めています。図書館司書が中心になって活動し、コミュニティセンターなどの市の施設をはじめ、商店会や医療機関、民間企業などでの読み聞かせをする「おはなし会」や、絵本の出張貸出などを行っています。また、本の先に人が感じられるコミュニティ(居場所)をつくりたいという思いから、活動の拠点を平成28(2016)年に吉祥寺から現在の古民家に移し、子ども文庫「ぐーぐーさん家」を開設しました。赤ちゃん連れの親御さんや小学生などがやってきては、気ままに本を読み、時にはおしゃべりをしたり、おやつを食べたりしています。本を通して人と人とがつながることができ、お互いに成長できる場にしたいと思っています。本との良い関係を築くことができれば、自分で自分の可能性を広げていくことができ、それは豊かな人生につながります。何でも吸収できる子ども時代に楽しい本や楽しい環境を体験してもらうための一助となればと思っています。

武蔵野市には、「こんな思いでこういうことをやりたい」と相談すると、地域を良くしていく活動であればと応援し、つなげてくれる環境があります。私たちの団体は、子ども文庫や読み聞かせ会などを実施していることから、子育て支援団体と認識されることが多いのですが、もちろんそういった側面もあるのですが、本は子どもだけのものではありませんので、本を通して得られる成長や学びを、全世代の方を対象に提供できたらと思っています。本とも人とも自然に関わることのできる独自の図書館(文庫)をつくれたらと思っています…。目指すはニューヨーク公共図書館です。

環境や境遇によって未来を憂う状況を多くの世代で見聞きしています。想像力の欠如からのトラブルの多さ、想像する事さえままならない苦境、日常の中で多くの不安要素がある今だからこそ、本との良い関係を築くことで、「追体験」という経験を積み、想像力を豊かに広げ、自分の可能性を開いていくことができるのではないかと思います。本に触れることで、ささやかでも「今」を楽しみ、「未来」にわくわくできるようなお手伝いがしたいと思い活動を続けています。

西久保にある「ぐーぐーさん家」の様子 西久保にある「ぐーぐーさん家」の様子
縁側にてシャボン玉で遊ぶ子どもたちと北川さん 縁側にてシャボン玉で遊ぶ子どもたちと北川さん

吉祥寺東おもちゃ病院

  • 吉祥寺東おもちゃ病院 代表 米山三郎

    代表

    米山よねやま 三郎さぶろう

    SABURO YONEYAMA
  • 吉祥寺東おもちゃ病院 所属メンバー 渡部一

    所属メンバー

    渡部わたべ はじめ

    HAJIME WATABE

吉祥寺東おもちゃ病院とは・・・

壊れたおもちゃを原則無料で修理し返却するボランティア団体。平成29(2017)年10月発足。日本おもちゃ病院協会の登録病院。おもちゃの出張修理は、0123吉祥寺(不定期)、吉祥寺南町コミュニティセンター(偶数月第1土曜)、本宿コミュニティセンター(奇数月第1土曜)、吉祥寺東コミュニティセンター(毎月第2土曜)、テンミリオンハウス月見路(毎月第3土曜)などで開催。おもちゃの預かりは、0123吉祥寺で随時実施。

おもちゃが直った時の笑顔が見たくて

吉祥寺東おもちゃ病院は、全国組織のボランティアグループ「日本おもちゃ病院協会」に属する団体として、平成28(2016)年から活動を開始しました。市内のコミュニティセンターやテンミリオンハウス、子ども食堂、0123吉祥寺などで「開院」し、地域の方から壊れてしまったおもちゃを預かり、「おもちゃドクター」として修理しています。

 

創設当初は、依頼の多いプラレールの修理に特化した「プラレール病院」として活動を開始しましたが、現在は、子ども用パソコンや機械仕掛けのぬいぐるみなど、多種多様なおもちゃを直しています。メンバーのおもちゃドクターは、機械製造業界出身、技術科の元教職員などさまざま。それぞれの得意分野を生かしながら修理にあたっており、年間300以上のおもちゃを直しています。

 

活動を始めて間もない頃、預かったおもちゃを直すことができず、修理をあきらめ、依頼者の子どもになんとか満足してもらおうと、同じ商品を用意して渡したことがありました。でも、それを受け取った子は「これじゃないよ」と言ったんです。おもちゃについた小さな傷、色の変化、貼ってあるシール…。その一つひとつに思い出があり、その子にとっては唯一無二のおもちゃだったんです。だから、思い入れの詰まったそのおもちゃを直してあげることに意味があるんです。

 

今ではほとんどのおもちゃを直せますが、故障の原因がなかなか分からず頭を抱えてしまうこともあります。でも、無事修理できて返すと、子どもが喜んでくれてうれしいですね。お礼の手紙をもらい、覚えたばかりのひらがなで書かれた「ありがとう」という言葉を目にした時は感動しました。また、最近「入院」するおもちゃの中には、祖父母や両親の代から使っているおもちゃなど古いものも多いです。壊れたら捨てるのではなく、修理しながら大切に受け継いでいく。その支えになれることも魅力ですね。  

今後もおもちゃの修理を通して、地域とつながっていければと思います。おもちゃドクターとして一緒に活動してくれる仲間も増やしていきたいですね。「これは、どうやって動くのだろう?」と興味を持てる人や、探究心のある人はきっと楽しく活動できますから、ぜひ、参加してほしいです。

おもちゃの修理は知識を持ち寄って和気藹々と おもちゃの修理は知識を持ち寄って和気あいあいと
スタッフのみなさん スタッフの皆さん

NPO法人 プレシャスネット

NPO法人 プレシャスネット 理事長 齋藤理恵子

理事長

齋藤さいとう 理恵子りえこ

RIEKO SAITO

NPO法人 プレシャスネットとは・・・

平成20(2008)年10月設立、平成27(2015)年11月にNPO法人化。地域や社会とのつながりを深め、親子での外出が楽しくなるような育児環境を作るために、親子ティーサロンやベビーヨガ、吉祥寺ハロウィンフェスタなどを開催。イベントへの参加者は延べ5万人を超える。運営スタッフは子育て中のママ30人。

ママたちが自分らしくすてきに輝けるよう、応援したい

「子育てを楽しみつつ、女性として輝くママを増やし、子どもにとってよりよい未来を作る」という理念を掲げ、活動しています。きっかけは私自身の子育て体験からでした。出産して子育てをしている時、世の中とのつながりが急に切れてしまったような孤独を強く感じました。会社に戻る場所があった私がこれだけ不安を感じたのですから、専業主婦やフリーランスのママたちは、幼稚園に入るまでの3年間は本当に孤独で不安だと思います。そういった小さなお子さんを持つママたちが外に出るきっかけになればと始めたのが、プレシャスネットです。

私たちが大事にしているのは「ティーサロン」という取り組みで、ママたちがお茶を飲みながらおしゃべりをして交流することができるものです。私たちは特定の拠点となる場所を持っていないので、市内のさまざまな企業・店舗・施設にご協力いただきながら、ベビーダンスやヨガ、英会話、かけっこ講座など、「こんなことやってほしい!」というママさんたちの声を拾いながら活動しています。毎年10月には「吉祥寺ハロウィンフェスタ」を開催しています。

スタッフのみんなは仕事もしているので、朝の6時からオンラインでミーティングをするなど、隙間時間を活用して取り組んでいます。忙しくて大変ですが、参加したママたちの「ありがとう」の声に励まされ、頑張れています。うちのチビーズ(子どもたち)は中学生になり、今ではボランティアスタッフとして手伝ってくれています。私のわがままで振り回してしまっているけれど、そんな私を応援してくれているから…「ま、良いかな」と思っています。

私が子育てに頑張っているママたちに伝えたいことは、「我慢しなくて良いよ、ママよ、わがままになれ!」という言葉です。子どものために我慢をしすぎないで、自分のやりたいことをやっていったほうが良いと、伝えたいです。輝いているママを見ることのほうが、子どももうれしいはずです。「ママも自分らしくいるから、あなたも自分らしくいなさいよ」、そんなふうに言えるママになれたらすてきだと思います。

「吉祥寺ハロウィンフェスタ」の際には、商店街をはじめ地域の方々の協力が欠かせないのですが、「まちのことを好きだから応援したい」とたくさんの方が協力してくださいます。まちに対する愛がすごいんです。そんな方がいっぱいいるから、このまちは良いまちであり続けるんですね。私も学生の頃から吉祥寺に暮らし、このまちのことが大好きなので、これからもママやファミリー層にとって過ごしやすい、居心地の良い武蔵野市・吉祥寺にしていけるよう、走り続けたいと思っています。

happily photo studioでの撮影会にてママ同士の交流 happily photo studioでの撮影会にてママ同士の交流
吉祥寺ハロウィンフェスタのパレード 吉祥寺ハロウィンフェスタのパレード